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【超怖い話 実話】「うちの父親のことなんだけど」 短編 - 超怖い話 実話

【超怖い話 実話】「うちの父親のことなんだけど」 短編

学生時代の友人から急に電話があった。

記憶の中では彼女は気丈な子だったが、

そのときは声が弱々しく震えていた。

「うちの父親のことなんだけど」

IMG_2405.jpg


その切り出しに、
私は思わず居住まいを正す。

彼女のお父さんは
2~3ヶ月前に亡くなったという知らせを聞いていた。

今どき珍しく、彼女は父親っ子だった。

話の先を促したが、
電話では伝え難いことらしい。

数日後、話を聞くために喫茶店で彼女と会った。

もともと細い子だったが、
少し頬がこけたようだった。

他愛のない近況報告ののち、
おもむろに彼女は一枚の写真を取り出した。

中年女性が2人と、
若い女性と彼女の4人が写っている。

みな喪服姿だった。

彼女とその姉、母親、叔母らしい。

「父親のお葬式のときの写真だと思う。」

彼女はそれきり何も言わなかったが、
一目でその写真の異常さはわかった。

一様に俯き、
目を赤く腫らしている女性たちの中で、
彼女だけが笑っていた。

それも満面の笑みで。

その曇り一つない笑顔は、
なぜか非常に禍々しいものだった。

ふと、どうしてこんな写真が存在するんだろう、
と疑問に思った。

葬式の日に写真なんて撮るものだろうか。

その写真は彼女の父親の遺影がバックに小さく写っている。

その前景として
彼女以外の3人はバラバラのほうを向いて、
動き回ってるようだった。

忙しそうな様子から察するに、
葬式の最中ではなく前後だろう。

彼女だけがカメラ目線。

「これは誰が撮ったの?」

わからない、
と言って彼女は首を横にふった。


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