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[超怖い話 実話] 俺は助かったのか?長編 - 超怖い話 実話

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[超怖い話 実話] 俺は助かったのか?長編

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うちの学校は、最近建て直したんで、
校舎はかなり新しく、きれいで近代的だ。

12階建てで、
階段の他にエレベーターが4基ある。

エレベーターは1階には停まらない。

来客も通る1階エントランスが
生徒でごった返すのを防ぐためだ。

朝登校した生徒は、
ホームルーム教室がある階まで階段で上るか、
2階まで階段で上ってから
エレベーターに乗るかのどちらかである。

みんなけっこうエレベーター待ちが面倒臭くて、
階段を使っている。

ある日の放課後、
担任と進路についての面談をしていた俺は、
だいぶ遅くなったので、
やや急ぎ気味に階段を下りていた。

2階から1階エントランスへとつながる階段は幅広で長い。

いつものように一段飛ばしで下りていると、
ふと階段の途中、1階にかなり近い段の真ん中に
何か黒いものがあることに気づいた。

なんだろうと思いながら階段を下りていった。

思いもかけぬ物があるときは、
けっこう近づかないと、
その物が何であるかわからないものだ。

俺は一段飛ばしをやめ、
ゆっくりと下り始めた。

そうして「それ」まで、
残り四~五段の所まで来て、
俺は止まった。

人形だ。

それも市松人形だ。

うつぶせに倒れている。

黒いのは髪の毛の部分だった。

いったい誰がなぜこんな所に……。

拾おうとしたが思いとどまる。

そりゃ千人から生徒がいりゃ、
一人ぐらい市松人形好きがいても不思議ではないが、
好きなんだったらこんなとこに落としていくような
不注意なまねはしないだろう。

そもそも、
いくら好きだからといって、
生徒が学校に市松人形を持ってくるシチュエーションなどありうるだろうか。

なんか異常だ。

気づかなかったことにしよう。

触らずに階段の端を通って下りようとした。

動いた!

わずかではあるが、
確かに人形が傾いた。

俺に顔を見せようとしているように。

俺は一気に五、六段飛び上がった。

そして悟った。

ここは通れない。

通ってはいけない。

2階まで駆け上がり、
心臓の鼓動を押さえようと胸に手を当てながら
現状を確認してみた。

が、やはり変だ。

放課後の比較的遅い時間帯とはいえ、
外はまだ完全に暗くなるほどではない。

部活動もやっているはずの時間だ。

しかし、校内は静まりかえっていて
物音ひとつしない。

いつもならやかましい吹奏楽部の練習の音も聞こえない。

とりあえず職員室ならまだ誰か先生がいるだろう。

職員室のある5階へ上ろうと上を見て、
また足が止まる。

3階へ行く階段の照明が消え、真っ暗だ。

さっき下りてくるときはついていたはずなのに。

ここを上ってはいきたくない。

普段通っている所なのに、
ものすごく不快だ。

俺はエレベーターに乗った。

エレベーターの中は明るかった。

ホッとする。

そこで俺は気づいた。

そうだ地下だ。

地下1階まで下りてから
階段で1階まで上ればいい。

しかも地下から1階までの階段は、
上から1階まで下りてくる階段とは違う所にある。

どちらもエントランスホールにつながっているのだが、
微妙に距離がある。

だから「あれ」を目にすることなく校外へ出られる。

少し気分が明るくなった。

気づくと鼻歌を歌っていた。

ついさっきまで
たかだか日本人形一体にびびっていた自分が
恥ずかしくなってきた。

誰も見てなかっただろうな、
なんてことを考えているうちにエレベーターが停まった。

ドアが開く。

……下りてみてすぐ気づいた。

ここは地下1階じゃない。

さっき乗った2階のエレベーターホールだ。

エレベーターは
下に下りている感覚しかなかったように思うが、
いったい?

心臓の鼓動が聞こえる。

気のせいだと思い直して
隣のエレベーターに乗る。

今度ははっきりB1のボタンを押す。

体重が軽くなる。

間違いなく下に向かって下りていっているのがわかる。

場所を知らせるランプは1階を過ぎ、
地下1階のランプがつく。

胸をなで下ろす……しかし停まらない。

地下1階のランプが消え、
地下2階のランプがつく。

心拍数が上がる。

やがて地下2階のランプも消え、
やや間があってエレベーターが停まる。

扉が開く。

2階だった。

見上げると確かに2階のランプがついている、
いつの間にか。

もう半泣きだったと思う。

いや泣き叫んでいたかもしれない。

飛び出してさらに隣のエレベーターに乗る。

B1を押す。扉を閉める。

エレベータが動き出す。停まる。扉が開く……2階だ。

心臓がえらいことになっている。

無駄とは思いながら最後のエレベーターに乗る。

手が震える。

振れ幅は20センチぐらいあったと思う。

端で見ていたら多分ぶざけていると思われると思う。

ボタンが押せない。

腕に噛みついて、
必死にB1のボタンを押した。

扉が閉まる。

これで同じ結果だったら、
俺はどうすればいいんだ。

こういう日に限って、
携帯は家に忘れてきてしまっているし。

祈るように手を組みながらランプを見つめる。

2……1……B1……停まった。

ランプはB1だ。

地下1階に着いたのか?
俺は助かったのか?

扉が開く。

うちの学校は地下に体育館がある。

地下1階のエレベーターホールの前には
体育教官室がある。

大体いつもドアが開けっ放しで、
奥のソファでくつろぐ体育の先生たちの姿が見える。

扉が開いたエレベーターの中で俺は座り込んだ。

前に広がるのは、
一面の闇だった。

エレベーター内の明かりに照らされて、
2~3メートル先まで白い床が見える。

それ以外は完全な真っ暗闇だ。

もちろん体育教官室もない。

「誰か!」

叫んだが反響すらない。

扉が閉まる。

ボタンを押していないのに動き出すエレベーター。

やがて2階で停まり、扉が開いた。

俺は力なく崩れるようにエレベーターから出た。

……もうダメだ。

あの人形の元を通るしかない。

ちなみに2階には理科室や美術室などの特別教室があり、
一般教室はない。

したがって今は鍵がかかっていて
それらの部屋には入れない。

仮に入れたとしても、
校舎自体が高層建築なので、窓は一切開かず、
分厚い一枚ガラスが窓枠にはめ込まれているので、
窓から飛び降りることはできない。

相変わらず校舎内は静かだ。

俺の鼓動だけがやかましく鳴り続けている。

覚悟を決めた。

飛び越そう。

確か「あれ」は残り五~六段の所にあったはずだ。

それよりさらに五~六段上の所から
一気に1階まで飛び降りてしまえばいい。

もし足をくじいたとしても、
エントランスから外に出るのに10メートルぐらい。

くじいたのが片足であれば、
ケンケンでも一気に外に出られるだろう。

足音を立てずに1階への階段を下りる。

十数段下りた所で踊り場に出る。

ここで180度向きを変えれば、
残り二十数段で1階だ。

さあ、行くぞ……

その一歩を踏み出す直前、視線を感じた。

見ると、足下、一段下りた所に、
「あれ」がいた。

上まで移動してきてたのか!

……違った。

その段から1階までの二十数段、
全てに、ぎっしりとすき間なく、
あの市松人形が敷き詰められていた……

しかも…………全て仰向けだった。

その顔は、
小さい鼻もおちょぼ口もぽっちゃりとした輪郭も白い顔色も
一般的な市松人形であった。

が、目だけが、一つ目だった。

鼻の上に一つだけ。

無数の市松人形と目の合った俺は、
意識を失った。

あれから1年。

学校を辞めた俺は今、
心療内科に通っている。

主治医は熱心に入院を勧めてくるが、
もうでかい建物で一人にされるのは堪えられないので
断っている。

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