ちょっとうろ覚えだけど、
心理学者のユングの自伝に書いてあった話です。
ユングが連れと一緒に外国旅行中、
美術館を訪れて、ひとつのすばらしい絵に巡りあった。
芸術的にも心理学的にも興味深いもので、
彼は連れにその絵の象徴性について解説をしたりする。
(自伝には詳細な描写が載ってたけど失念、すまん)
帰りがけにユングはその絵の絵葉書を探すのだけど、
こんなすごい絵なのだから当然あってもおかしくない、
その手の土産物が見当たらない。
旅程に余裕がなく、
仕方なくユングは別便でこの町を訪れる予定だった友人に言伝をする。
これこれこういう絵があるので、
ついては絵葉書を探してもらえないか。
ユングの友人は絵葉書を見つけられなかった。
それどころでなく、
「あの美術館にはそんな絵はなかったよ」
と彼に告げた。
納得できないユングは、
後に美術館を再度訪れる。
記憶を頼りに、
その絵がかかっていたはずの壁を見上げたユングが見たものは、
なんと、壁一面のステンドグラス。
ユングが見たという絵に該当する作品は、
美術館の誰の記憶にもなかった。
美術館ができて以来ずっと、
そこにはこのステンドグラスがかかっていたという。
だからユングが見たのは、
あるはずのない絵、
実在しない絵だった、ということになる。
土産物がなくいのも当たり前だ。
...ありがちといえばそれまでの話だけど、
連れが居たこととか、
学者の記録に残っていることとかから、
勘違いや妄想でもなさそうなのところが記憶に残った。
外国の美術館に行くたびに、
ちょっとこういうイベントを期待してしまう自分がいる。
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