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【超怖い話 実話 本当にあった怖い話】大抵一人ドライブだった 短編 - 超怖い話 実話

【超怖い話 実話 本当にあった怖い話】大抵一人ドライブだった 短編

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以前、伯母が京丹波に住んでた時の話。

俺の母親の年の離れてた姉で、
子供がいなかったのもあって
半分孫みたいに可愛がってもらった伯母なんで、
孝行せんといかんと思ってたんで
そんなに面倒がらずに行ってた。

まあだいたいは何か持っていく物があったり、
伯母の体調が悪かったり、
何か用事があるときなんだが。
母も一緒に乗ってたこともあったが、
仕事もあるし、なかなか俺の予定と合わなかったりして
大抵一人ドライブだった。

こちらは大阪北部、
京丹波までは一旦京都に出て
縦貫道に乗り換えると
ずっと高速で行けるんだけど、
ぐるっと遠回りになるし金もかかる。

で、いつも亀岡の山を越えていた。

だいたい午後に行って
夕飯を一緒に食って帰ってくるから
山を越えるのは暗くなってからだ。

真っ暗だし、
車もあまり通らない。

30分ほどの間に3~4台もすれ違えばいい方、
見える範囲に同じ方向に進む車がいれば心強かった。

だが、夜は大阪側から帰ってくる車の方が圧倒的に多い。

1台だけポツーンとくねくね走ってることが多かった。

ある時、
山道にさしかかったところで、
ふとルームミラーにチラッと
何か映った気がした。

気になったもんで、
ちょっと停まってよく見てみた。

白っぽい何かが後ろの方に見える。

ふらふら動いてる。

人間?

有り得ないことはない。

すぐ後ろはまだ人家やコンビニもある町だ。

でも、この先はひたすら山の中、
次の集落まで徒歩なら相当ある。

女性っぽく見えるし、
危なくないのか?とは思ったが、
ふらふらと歩く様子が何となく薄気味悪いし・・・

でも、認知症の老人か、
精神に病を抱えた人なら大変かも・・・と

いろいろ迷った挙句、
警察に連絡して俺はスルーさせてもらうことにした。

とりあえず110番して

「もしかして見間違いかもしれませんが、念のため・・・」

と、通報してその場を去った。

再び走りだした時もう一度見てみたら、
やはりまだ歩いている。

さっきより若干近付いてて、
若い女性のように見えた。

因みに、
古式ゆかしい白装束でもなければ
貞子風なワンピースでもない
普通の格好だった。

ちょっと急ぎ気味に走ってるうちに
すぐに見えなくなった。

あの町に交番があるか駐在が居るか、
とにかくそんなに忙しくもないだろうし、
保護してもらえるだろうと楽観していた。

相変わらず真っ暗な道を
ハイビームで照らしながら急いだ。

どうせほとんど対向車も来ない。

CDをガンガンにかけながら、
ガンガンに歌いながら。

そのうち集落に出た。

田舎の人の夜は早く、
どの家も暗い。

小さな小さな集落なんで、
すぐに通り抜けてまた山道に入る。

そのとき、
ミラーの中のずっとずっと後ろの方に
信じられないものを見た。

さっきの女。

「なんでやねん!!」

本気でつっこんだのは初めてだった。

さっきと同じフラフラした歩き方、
あのペースで追いつけるわけがない。

だって!今だって全然近付いてこない!

「カンベンしてくれよ!!」

1人で声に出して怒鳴った。

そこからめちゃくちゃに急いだ。

とにかくアイツから離れたい。

ただそれだけで走り続けた。

もうミラーは見れなくなっていた。

しばらく走ってるうちに少し落ち着いてきた。

待て、俺、これは死亡フラグやないか・・・

焦って運転誤ってあぼーんパターンやんか・・・

落ち着け落ち着け・・・と、
少しアクセルを抜いた。

タバコに火をつけて窓を開ける。

木々がざわざわ鳴ってるのが
どうしても人の声に聞こえて
ソッコーでタバコを灰皿にねじ込んで窓を閉めた。

そして、よせばいいのに
ミラーを見てしまった。

居る・・・ずっと後ろに・・・でもさっきよりは近い・・・

とにかくカーブの続く山道なんで、
後ろの女も見え隠れする。

長いこと見えない時もあった。

だが、次に見えたときには
必ず距離を縮めていた。

少しずつ少しずつ近付いてくる。

追いつかれる前に山を抜けたい。

誰かに電話を・・・

でも、携帯は圏外。

「くっそ!」

携帯をリアシートに放り投げた。

精神的余裕がどんどん失われる。

ところどころにちょっと直線の道に出てくる。

その度に確実に近付いてる。

なんで!?あんなにスローモーやのに!

チラッとミラーを確認すると・・・

近い!もう5mも無い・・・

顔も見える。

霊って長い髪で隠しとくもんちゃうんかい!

顔出すな!ヴォケ!

すました無表情で歩いてくる。

プツンとCDが止まった。

ガチャガチャにボタンを押しまくったが
うんともすんともいわない。

ミラーを捻じ曲げ、
もう二度と振り返るまいと
前を見据えてひたすら車を走らせた。

カーブの度にキーキーと音をたてる。

生コンの作業場のあるところに出た。

緩やかな左カーブ、
暗いドアミラーの中に白く浮かび上がる影、
半泣きではなく、全泣きで走った。

この先右手は深い崖、
落ちたら死ぬ・・・落ち着け!

今思えばちょっとおかしくなってたのかもしれない。

しょうもないことを思いついてしまった。

これ、ミラーやから見えるんちゃうん?

実際に振り返ったら居らんのとちゃうん?

居っても見えへんのちゃう??

急ブレーキかけて停まった。

ガバッと振り返った。

女はトランクに手をかけて薄笑いを浮かべ、
停まっているのに尚ゆらゆらと揺れていた。

生コン会社前の街灯の薄明かりの中に
くっきり女の顔があった。

こういう時、
「うわー!」とか「ぎゃー!」という声は
出ないもんなんだと知った。

よく漫画とかである
「ヒッ!」っていうヤツ、あれ正解。

震える手は言うことを聞かず、
女から目を離すことも出来ない。

全身ががくがくする。

そのとき、
いきなり携帯が鳴り響き、
驚いて跳ね上がった。

それと同時に女はすぅっと消えた。

しばらく呆然としていたら着信音がとまり、
はっと我に返った。

放り投げた携帯を手繰り寄せ、
履歴を見たら伯母からだった。

生コン会社がある区域だからアンテナが立ってる。

すぐにかけ直した。

「あ~、○○くん?
まだ運転中やったんやねぇ、ごめ~ん」

伯母ののんびりした声を聞いてほっとした。

「いや、今とまってるから大丈夫。何?」

「あんた、忘れもんしてるで。
何やろ、これ?小さい青いのん。
今日使うもんやないんならいいけど、
置いててかまへんのか?」

ポケットに入ってたフラッシュメモリーを
落としてきたようだ。

「私用のヤツやからかまへんわ。
また次行ったときでええよ」

あちこちきょろきょろ見回して女が居ないのを確認し、
タバコに火をつけた。

わざとダラダラと伯母と話し、
落ち着いてからまた車を発進させた。

オーディオのスイッチを入れてみたら普通についた。

「あははは!」

思わず声が出た。

ここまで来たら町に出るまでもうすぐ、
かなり元気を取り戻して
ブルーハーツをがなりながら先を急いだ。

少し広い府道に出る手前の最後の集落を抜けようとした時、
ふとミラーが捻じ曲がったままなのに気付いた。

町に入れば後ろが見えないのは危険だ。

ミラーを元の位置に戻していくと、
だんだんその中に・・・

嘘や!!なんで!?

後部座席にヤツが座ってる!!

満面の笑み。

こんな気持ち悪い笑顔は見たことが無い。

ヤツは笑いながら言った。

「当たるよぅ・・・」

ミラーの中に気を取られていた。

前方を見たら左側の岩肌が眼前に迫っていた。

体が動かない。

あかん!死ぬ!

そのとき、再び携帯が鳴り響いた。

ふっと体が自由になり、
ブレーキを踏み込みハンドルを切った。

凄まじいブレーキ音と避けきれず
ホイールとボディを削る金属音。

府道に出る交差点のすぐ手前だった。

「だから崖のとこの方がよかったのに・・・」

か細い声が聞こえて恐る恐る振り向いた。

女は少し離れたところに立っていた。

元の無表情に戻っていた。

心なしか怒っているようにも見えた。

聞こえるか聞こえないか分からなかったが、
力いっぱい叫んだ。

「ザマーミロ!もうついてくんな!クソが!!」

女はくるりと後ろを向き、
またふらふらと歩き出してすぐに消えた。

すぐ横に駐在所がある。

奥の住居部分から
たぶん駐在さんが出てこようとしてるようだった。

高鳴る胸を押さえ、
体をわたわた震わせながら慌てて府道に出た。

ミラーの中にはもう何も見えない。

周りには他の車も走っている。

コンビニでコーヒーを買い、
着信履歴を見てみた。

今度は母からの着信だった。

かけなおす。

「あ~、○○?
あんた悪いけど、
どっかで牛乳買うてきてくれへん?
朝無いとお父さんうるさいし~」

「分かった。ありがとう」

「はあ?」

かまわず切って、
牛乳を買いにもう一度コンビニに入った。

以後、伯母のところに行くときに
峠を越えるのはやめた。

そして、
母が伯母にそばに来てもらいたいと言い出したのに便乗し、
俺も引越しを強く勧めた。

今は歩いて5分のところに居る。

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