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【超怖い話 実話 本当にあった怖い話】寒さに震えているようだ 短編 - 超怖い話 実話

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【超怖い話 実話 本当にあった怖い話】寒さに震えているようだ 短編

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千葉の外房の、とある漁港が好きで、
度々夜釣りに出かけていた時の話。

その漁港は古くから
「石持ち」などが投げ釣りで釣れるのだが、
防波堤が余りに小さく、
少しシケルだけで非常に危険な状態になる。

そこで何年もかけて護岸工事が進み
巨大なテトラや防波堤が出来ていた。

前回訪れた時は無かった新しい防波堤が伸びていて、
遠くから見ると先端部分の街灯の下に先客がいるようだ。

すぐ傍まで近づいてから

「釣れますか?」

と声を掛けようとして思いとどまった。

明らかに釣りの格好をして
クーラーボックスに腰をかけているのに、
竿を出さずに視線を落とし、
ボーっと海を眺めていたのだ。

後ろ姿からすると50~60代以上の、
やや高齢者のように見える。

付近にはペットボトルの飲料が一つと、
手にはカップ酒のような物を持っている。

それ以外の物は特に見当たらないようだった。

防波堤の先端から5m以上手前に戻ると
光がまったく射さなくなるので、
釣りの準備をするのは大変だが、
何となく気味が悪かったので
挨拶の必要が無い暗い場所まで戻ってから、
釣りを開始するために荷物を降ろし始めた。

打ち寄せる波の音が絶え間なく響いていたのだが、
その合間にふと奇妙な声が聞こえて来る。

「あれ?」

と思って先端部分のお年寄りに目を向けると、
肩がビクビク小刻みに揺れていて、
まるで寒さに震えているようだ。

どうしたんだろうと思って少し様子を見ていると、
ブツブツ何か言いながら、
手に持ったワンカップ酒を一気に飲み干し、
その後ペットボトルの蓋を開けてから、
海にドボドボと流し始めた。

その様子が
まるで故人に飲み物を捧げているような雰囲気なので、
一旦手を止めてさらに凝視しながら耳をそばだてる。

老人:「一人では寂しかろうなぁ~。
おじいちゃんがちょっと目を離した隙に
こんな事になるなんて…。グスン、グスン…。」

『うわぁ~、なんだか事故で
孫か誰かが亡くなっちゃったのかな?』

と思いながら、
すっかり釣りの気分ではなくなったので、
そのまま道具をまとめ始めると、
またその老人の声が聞こえて来る。

老人:「最近誰も来なかったんだけど、
ようやく一人おあつらえ向きの者が来たから、
今からそちらに送るからな。
それで寂しさを紛らわせておくれ…。」

『………。
おあつらえ向きの者が来た?
俺以外に人は居ないようだけど…。』

護岸工事が終わった直後の防波堤付近は
地形が変化すると同時に生態系も乱れるため、
釣り糸を垂れてもあまり釣果は上がらない。

それを承知の上で敢えてこの場所を選んだのだが、
案の定釣り人は誰も居なかった。

釣り人が来なくなったのいつからの事なんだろう?

もしかしたら、
護岸工事が終わってから今日まで、
誰も来ていなかったのだろうか?

そんなことを考えていると、
ズララララという
コンクリートに金属のスコップを引きずった時のような大きな音が響き、
ゆっくりと老人が立ちあがってこちらに振り返った。

手にはこれまでに見たことも無いような
三又(?)のような漁師道具が握られており、
それを両手に構えようとしているところだった。

そんな物騒な物は、
先ほど見たときには無かったのに…。

『おあつらえ向きの者って俺かぁ!!!』

とようやく事態の大変さに気が付き、
このままではあの世へ送られて
海に捨てられてしまうかもしれないという恐怖が
俺の体の末端まで行き渡る。

ピリピリと痺れにも似た感覚が指先を刺激した。

その後、ゆっくりと俺の方に近付いてくる老人の表情は逆光になっていて、
全く窺い知ることが出来なかったが、
釣り竿やクーラーボックスを手繰り寄せながら、
万が一の攻撃に備えることにした。

目を離すと槍投げのように突き刺されそうだし、
防波堤の上には舫い綱を止めておく
アンカー・ボルトのような物や、
ロープなどが所々点在しているため、
下手に後ずさるといつ海に落ちるかわからない。

悲鳴を上げたいのを我慢しながら老人の挙動を凝視し続け、
小さく畳んだ釣り竿とクーラーボックスで防御態勢に入る。

そして老人が手にした三又を振り上げた。

俺との距離は2~3m、
表情は相変わらずよく見えないが、
老人の周りだけ妙に暗いような、
目を凝らしてもよく見えないような雰囲気だ。

俺も防御するように両手を上げ、
三又が振り下ろされた瞬間、
後ろに跳び退いても
十分なスペースがあるかを確認するために一瞬振り返った。

その後すぐに目を戻すと、
今まで目の前に居た老人は見えなくなっている。

死角に回り込まれたのかとゾッとしながら周囲を素早く確認したが、
やはり老人の姿はどこにも見当たらなかった。

三又のようなものはもちろん、
あれだけハッキリ見えていたカップ酒やペットボトル、
そして老人が腰かけていたクーラーボックスまでが完全に消えていた。

拍子抜けしながらも慌てて荷物をまとめ、
サッサとその場を後にした。

死ぬほど怖いというより、
殺されるほど怖いと思った本当の話…。

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