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意地張って、 - 超怖い話 実話

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意地張って、

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小1の時、昼休みに校庭の隅で
ぼーっとフェンスの向こうの道路を見てた。

そしたらいつのまにか、
すぐ近くに背広姿のおっさんが立ってて
なんとなく「こんにちは」って挨拶した。

なんか青白くて薄い顔したおっさんは
じっとこっちを見下ろしてんだけど無言で、
なのに目はすごい勢いで
きょろきょろ動いてて怖くなった。

でも間にあるフェンスは5mくらいの高さだから、
簡単にはこっちに来れない。

変質者かなって思ったけど
逃げたら負けとかつまらん意地張って、
こっちも黙って見返してた。

それでももう昼休みも終わるし、
その間ずっとこんな気持ち悪いおっさんを見て過ごすのも
嫌だなってすぐ後悔した。

すると動かなかったおっさんが
さっとその場に膝をついて、
細い腕をフェンスの網目に突っ込んで
俺に向かって手を伸ばしてきた。

おっさんはよく見たら手ぶらで
鞄も何も持ってなかったんだけど、
その動きは異様に早くて音も静かだった。

俺はフェンスから2mくらいは離れてたはずなんだけど、
おっさんの妙に長くて冷たい指は
逃げる暇もなく俺の右腕に絡んでいた。

ちょっと目を見開いたおっさんは、
驚いて固まってる俺の右腕をやけにゆっくり撫でながら、
棒読みでこう言った。

「良い手ですね」

正直、漏らすかと思った。

「良い手ですね、ねえ」

「……あり、がとう、ございます」

「本当に良い手です」

半泣きで喋る俺に
おっさんは良い手ですとぶつぶつ繰り返して、
何度も肩から手首まで撫でた。

きょろきょろしていた目が
黒目を小刻みに震わせつつも、
じっと俺の右腕を見ているのが怖かった。

だいたい腕が長すぎるし、
フェンスの網目は腕を通せるほど大きくない。

もうこれは変質者とかじゃない、
もっとなんかヤバいものだと思って
俺は逃げ出した。

撫でるだけだった手は
捕まえようとするでもなく、
その場に落ちた。

骨がないみたいな重い肉が、
一歩引いた俺の横腹や足を伝って
ドサッと地面を打った。

おっさんがどんな顔をしてたかわからない。

振り返ったら捕まりそうな気がして、
必死で校舎に駆けこんで
職員室でさっきあった事を担任に話した。

すぐに何人かの教師が外を見回ってくれたけど、
背広のおっさんの姿は何処にもなかった。

しばらくはビビってたけど、
会うことはなかったから忘れていた。

思い出したのは、
このまえ友人に昔こういう怖い事があったと話した時に、
奴がこんな事を言ったからだ。

「ああ、俺もあるよ。
変なおっさんに『良い目ですね』って、
目ん玉舐められたことある」

「…逃げた、よな?」

「びっくりしてなっがい舌掴んで引き摺り倒したら、
いなくなった」

友人が語るおっさんの風体は、
俺が会った人物ととてもよく似通っていた。

彼は元々うっすらと幽霊っぽいものが見えるタイプで、
鮮明に見えていたおっさんは
ただの変態だと思って殴ろうとしたそうだ。

でも一瞬で消えてしまったので、
そこで初めて人間じゃなかったと気づいたという。

友人の目はある意味では良いものかもしれんが、
左利きの俺の右腕がどうしてあんなに気に入られたのか解からない。

知りたくもない。

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