石じじいの話です。
彼が住んでいた村には
真言宗のお寺がありました(さすが四国ですね)。
その寺の裏山(寺所有の山林)に石切場があり、
そこから砂岩がとれたそうです。
あまり硬くなく質が良いとは言えないものでしたが、
加工が容易ですぐに手に入ったので、
その寺をはじめとして、
村落の石垣などを築くときに利用したそうです。
墓石にも使われましたが、
年月がたつとぼろぼろになって、
ほった文字が読めなくなるようなしろものでした。
じじいは、
その石切場での石の切り出しと加工も請けおっていました。
生前、彼の小屋で、
ぼろぼろにさびた鉄製の大きなはさみのようなものを
見せてくれたことがあります。
これで石を挟んで運ぶんや、
と言ってました。
石垣用の石を割っていたときに、
その砂岩のなかから、
女性の顔が出てきたそうです。
たまに化石がみつかることがある地方でしたが、
その石切場からはそれまで化石など発見されたことはなく、
それにもましてそれがリアルな女性の三次元の顔(マスク)だったので、
たいそうたまげたとのこと。
それはけっこう美人で、
眼をつむっていたそうです。
もちろん眼を開くようなこともなく。
石に割れ目があって、
それにそってくさびを打ち込んだら、
ぼろっとそこから二つに分離して、
顔が出てきたと。
実際の人間の顔よりもちょっと小ぶりだったそうで、
雌型(モールドともいいますが)もしっかりと残っていました。
雄型(凸)は、気色が悪いということで、
お寺でお経を上げてもらって、
池の土手に塚を作って埋めたとのこと。
雌型のほうは、
じじいがこっそりと家にもってかえって置いておいたそうです。
漬け物石などに使ったそうですが、
いつの間にか無くなっていた。
関連記事
スポンサードリンク