もう8年くらい前の夏休みの話。夏休みと言っても朝から
晩まで部活動の毎日。そんな夏休みも半ばにさしかかった頃、
僕達の住む北の大地はちょうどお盆で、
帰省してた部活のOBが車で遊びに来ていた。
毎日の練習に飽き飽きしていた僕達が
そのOBに「どっか遊びに連れてけ!」と
せがんだ結果、じゃあ肝試しにでも・・・
ということで地元でも有名な心霊スポットに行くことになった。
出発は夕方。
部活内で参加者を募るものの、
集まったのは結局3人だけだった。
肝試しに行った先は一軒の空き屋で
遠くから見た感じではただの家に見えた。
ただ、家の周りには2Mくらいの柵で囲まれていて、
近くでみると相当広い敷地だった。
まずOBが、次ぎにG君が、
更にO君が続き最後に僕が柵の中へと入る。
だんだん日も暮れかけ薄暗かったので
OBが持参した懐中電灯を手に進んだ。
荒れ果てた敷地内にさほど痛んでもいない家。
なんとなーく不気味さはあるものの幽霊が
出てくるわけでもなく「つまんないねー」
とかいいながら歩いていた。
暫く家の周りをぐるぐる歩いていると
虫の羽音が耳元をかすめた。
蚊じゃなくて、蝿とか蜂のようなブンブンという音。
微かだったけど、僕はこの音が嫌いで
何度も払おうと頭を振っていた。
前を見るとG君もO君も似たような仕草をしている。
「虫、いるなぁ~」とOBが言い、
みんなで「ウゼーウゼー」とか言いながら歩いた。
でも払っても払ってもブーンブーンという音は消えない。
それどころか、だんだんその音は大きくなってきてるようだった。
ふと、G君の歩みが止まった。
「なんか・・・虫じゃなくね?」
そんなG君の言葉に全員が
立ち止まり耳を澄ましてみる。
よくよく聞いてみると、その音はお経だった。
まずOBがギャー!と叫び、それに続いて
全員が叫びながら柵の方へ走った。
夢中で走ってとにかく早くここから出たかった。
けど、他の3人が次々と柵越えする中、
僕は家の方を振り返って見てしまった。
空き屋であるはずの家。
なのに、窓からは明かりが漏れていた。
僕は柵を越えることも忘れてしまう程に
その家の窓から目が離せなくなっていた。
だって窓の中、つまり家の中には
僕達4人が麻雀をする姿があったから。
G君の叫び声で我に返り柵を越え、
もう一度家の方を見た時にはすでに何も見えなかった。
明かりも消えていて元の空き屋に戻っていた。
この話は同行した3人は信じてくれなかったし
(3人は見ていなかった)、
それ以前に僕達4人で麻雀
なんかしたことがなかったから、
何を意味するのかはいまだにサッパリ分からない。
今のところ何も不吉なことは
起きてませんが、今後が心配です。
関連記事
スポンサードリンク