【怖い話 実話 心霊・怪談】まだ普通の幽霊話で済んだのに。怖い出来事長編 - 超怖い話 実話

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【怖い話 実話 心霊・怪談】まだ普通の幽霊話で済んだのに。怖い出来事長編

去年の夏の雨の日のことです。

残業が長引いて、私は人通りもない

帰り道を急いでいました。

近道の路地に入ると、年老いた風の男女二人連れが、

IMG_1540.jpg


、ゆっくりとこちら側へ向かってきました。

お爺さんが銀色の自転車を押し、その後ろから

お婆さんがお爺さんに傘を差しかけて、

自分は少し濡れながら歩いています。

譲り合ってようやく傘同士がすれ

違えるような狭い路地なので、

私は立ち止まって道を譲りました。

するとお爺さんが、「××病院は

どこかいな」と私に尋ねてきました。

その町に長い私でしたが、心当たりの

病院がありません。

困って後ろのお婆さんを見ると、

片手を拝むように目の前にした後、

私が歩いて来た方を指差し、

もう一度拝むように頭を下げました。

「ああ、このお爺さんはきっと

少し呆けているんだな」

そういえば、着ているものも

パジャマみたいだし。

そう思って私は、お婆さんの

指差すまま「あっちです」とお爺さんに告げました。

「おおきにな。あっちやな。ホンマに、

オカンは何さらしとんのや。オカン

おらへんかったら、ワシ道全然分

からへんがな。ホンマおおきに」

ブツブツ言いながらお爺さんは歩き出し、

お婆さんはまた私にお辞儀をしながら

後に続きました。

きっと呆けてしまって、奥さんが

ついて来ている事にも気がつかないのだ。

何となく可哀想に思えて、何気なく

振り返ってみると、そこには

お婆さんしかいませんでした。

お爺さんも、自転車も、

どう目を凝らしても見えないのです。

その路地は大きな工場の裏手で、

どこにも隠れるところはありません。

雨の夜とは言え、シルバーの自転車と

ネルっぽいパジャマだけを着たお爺さんを、

見失うわけもありません。

お婆さんは傘を何も無い空間に差しかけて、

自分は肩を濡らしたままゆっくりと

歩いていきます。

その姿が路地の角を曲がって

見えなくなるまで、私は怖くて

動けませんでした。

後から思い出すとおかしな話です。

消えたのがお婆さんだったら、

まだ普通の幽霊話で済んだのに。


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