【ほんのりと怖い話】『元気の良い若い女のこの声』 長編 - 超怖い話 実話

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【ほんのりと怖い話】『元気の良い若い女のこの声』 長編

以前、事情があって高校中退した弟(大工見習い)と一緒に、

大学に通いながら賃貸で二人で暮らしてた。

隣に住んでいたのは80近い元気なお婆さんで、

引っ越してきてすぐにババ友を作り、

IMG_1322.jpg


あちこちで立ち話をしている姿を見かけたし、

俺や弟も見つかるとすぐ話しかけられて、

やれ、自分のお父さん(自分の旦那のことを

こう呼んでいた)も昔大工をしていただの、

自分が一人暮らしできるのは

元教員で年金があるからだの、

上の息子の子が今年から大学にいっているだの、

延々と興味ない話を聞かされた。

部屋は2DKで、俺と弟は寝室を分けて、

俺の寝室とお婆さんの寝室が、

壁一枚隔てて隣り合っている構造になっていたんだが、

ある日、隣の部屋から楽しそうな「キャハハハ」という

若い女の子の声が聞こえてきた。

大学生の孫がいるといっていたので、

遊びに来てるのかと思いつつ、

思わぬ出会いを妄想してときめいたりした

時期でもある。(スマンw)

その後、孫はしょっちゅう遊びにくるのか、

隣の部屋から「キャハハハ」

と楽しそうな笑い声がよく聞こえるようになった。

当時ネトゲにはまっていた俺は、

早朝4時台に寝るなんてことも多々あったんだが、

その日もそんな感じで朝4時半頃に

ギルド解散だったように思う。

さて寝ようかと思った瞬間、

隣の部屋からまた「キャハハハハ」と笑う声が聞こえた。

え?こんな時間に孫来てんの?泊まってんの?

と思った瞬間、

今度は隣の部屋から「おとうさぁ~ん」という、

哀しいような切ないようなお婆さんの声が聞こえた。

そしてその直後、

また「キャハハハ」と笑う若い女性の声が続く。

すると、次は仏壇のお鈴を「チリーン」

と叩く音がして、

また「おとうさぁ~ん。おとうさぁ~ん」

とお婆さんの縋るような声が聞こえ、

その後にまた「キャハハハハ」という若い女性の声が・・・

正直、背筋がぞくぞくした。

お婆さんの声は尋常じゃないし、

以前は『元気の良い若い女のこの声』

だと思っていたその声は、

お婆さんを嘲笑するような声に聞こえたからだ。

頭の中に浮かんだのは『老人虐待』という言葉。

例えば孫が遺産目当てでお婆ちゃんを

虐待して・・・とか色々考えたんだが、

当然答えはみつからなかった。

そうこうしているうちに、

朝5時台出勤の弟が起きだした気配がしたので、

俺もキッチンにいき今あったことを弟に話すと、

「そういや、最近お婆ちゃんみないよなぁ・・・」

といっていた。

確かに以前は頻繁に立ち話を目撃したし、

やれ作りすぎた煮物だの、

余った漬物だのを持ってきたかと思うと、

それを口実に玄関先でマシンガントークを

聞かされていたんだが、

ここ1ヶ月ほどそういうことも一切無くなっていた。

何となく不安に思った俺は、

以前親から貰って余っていた食品を袋に詰め、

普段のお礼ということでお婆さんの

部屋のチャイムを鳴らした。

久々に見たお婆さんは、

髪はぼさぼさでやつれていて元気もなく、

食品を渡すと

「あ・・・ああ。ありがとうね・・・」

とだけ呟いて、早々に部屋に戻っていった。

その後も気になるので

何となく隣の部屋の話し声に気をつけていたんだが、

時折聞こえる「キャハハハ」という高笑いと、

早朝に決まって聞こえる「おとうさぁん」という

何とも哀しい声以外は、

よく聞き取れなかった。

一度弟にも来てもらい、

一緒に耳を傾けてもらったが、

その高笑いを聞いた途端顔が真っ青いなり、

「これヤバイ。絶対ヤバイ」と怖がっていた。

ある日、お婆さんの部屋が騒がしいことに気づいた。

しばらくすると、お婆さんの娘と名乗る女性と旦那が、

「お婆さんと連絡がつかない」

「部屋を見ても誰もいない」

「どこへいったか知らないか」

と聞かれた。

当然俺は何の役にもたてなかったが、

「俺も心あたりを探します」

と協力を要請し、

一通り探しても見つからないため、

警察へ連絡をすることになった。

その間お婆さんの部屋を

見せてもらったりしたんだが、

以前見た時と違い部屋の中は

メチャクチャになっていた。

娘さんが言うには、

少し前から痴呆の症状が

出ているように思ったということだった。

俺は役に立てないので一旦部屋に引き返したが、

数時間後、1キロほど先の大型店舗で裸足で

歩いていたところを保護されて、

今日は自宅に連れて帰るとお礼があった。

孫からの虐待について言うべきか

言わないほうが良いのか迷ったが、

やはり言えなかった。

その後、お婆さんは部屋を

引き払うことになるんだが、

その時初めて『大学生の孫』を見た。

明らかに高笑いの声とは違う声で、

しかも大学はかなりの遠方(ここは関東で

大学は関西)に普段は住んでいるとのこと。

帰ってきた弟と飯を食いながらその話をしたところ、

「痴呆の症状の一つか、何か精神疾患でも

併発していたんじゃないか」

ということになった。

ただ、その時弟が

「兄キは高笑いしか本当に聞こえなかったん?」

と聞いたので、

「キャハハハっつってただけだろ?」

「いや・・キャハハハって笑った後に、

同じ女性の声で低く『死ね』って俺には

聞こえたんだけど・・・」

と暗い顔で言った。

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