【怖い話 最も怖い話】古き昭和の面影を残すこの建物 短編 - 超怖い話 実話

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【怖い話 最も怖い話】古き昭和の面影を残すこの建物 短編

引っ越した先のぼろアパートには、

ありがたくない先住者がいた。

戦災をのがれて生き残ったという、

古き昭和の面影を残すこの建物にじつにぴったりな、

IMG_1303.jpg


うらさびしいその存在。

荷物をはこびこむとき、
そいつは部屋のすみに座ってうつむいていた。

かべのほうを向いて。

まるで無言の抵抗をこころみるように。

こころのなかで、

「ごめんよ。君はもうこの世界の住人じゃないんだよ」

と、手をあわせながら作業をすすめた。

帰るといつもそいつは部屋にいた。

かべのほうを向いて、かなしそうにしていた。

寝るときもそいつは部屋のすみっこにいて、
べつになにか悪さをするわけでもなかった。

もしかしたら、部屋にいくらか残ったままだった、
そいつのものと思われる遺留品が心残りで、
成仏できないのかもしれない。

残念だが、捨てさせてもらったよ。

ちゃんとお寺で供養までしたんだよ。

しかし、そいつはくぐもった声で、

「ここはおれの部屋だ」

とくりかえし言うだけ。

「君はここにいちゃいけないんだ。君の帰るべき家は、」

と説いて、窓の外、空の向こうを指差すと、
そいつは肩をゆらして泣きじゃくった。

そのとき、ハッとこころあたりがして、
引き戸をあけて廊下へとびだし、
すすけた部屋番号の木札を見た。

部屋をまちがえてた。

ゴメン。ほんとにゴメン。

なんてあやまったらいいのか。

すてちゃったよ、君のもの。

どうしよう。


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