【怖い話 一番怖い話】仕事はフリーの社会派ライター。短編 - 超怖い話 実話

ピックアップ!

【怖い話 一番怖い話】仕事はフリーの社会派ライター。短編

これから話す内容はムラさん(仮名)から聞いた話。

その日、僕はムラさんの部屋で

男二人飲んでいた。

ムラさんの仕事はフリーの社会派ライター。

IMG_2584.jpg


当時、部落や公園を回っては浮浪者から、なぜ今の生活に落ち着いたのかなど過去を聞いて回り、いずれ本にまとめて発表する予定だった。

「でもそんな簡単に浮浪者が話してくれるんスか?」と僕が聞くと、「ウラワザがあるんだよ」とニッと笑って、部屋にある一升瓶にアゴをやった。
ウラワザは手土産として酒と簡単なツマミでも持っていくと、連中の口も軽くなるという寸法らしい。

そうしてムラさんが集めた体験談によると、昔は小さな町工場を経営してたという者、田舎の農村から冬場の稼ぎのために上京しそのまま浮浪者になったという者など。
様々な過去話が聞けたそうだ。

「面白い経歴の浮浪者はいなかったんスか?」

僕がそう尋ねると、ムラさんはちょっと考えたような顔つきになり、黙ってタバコを吹かす。

「使えない話ってのがあってな。明らかな大ボラとか、頭がおかしくなってる奴の話なんだが」

そこで言葉を切り、タバコを消すムラさん。

「聞かせてくださいよ!」

妙にもったいぶるその仕草に僕は急かす。

ムラさん:「自分はテンショウ24年の未来から気たって男がいてな」

僕:「ぷっ、未来人スか?バックトゥザフャーチャーじゃあるまいし、どうやって未来から来たって言ってたんスか?それにテンショウって、昭和の次の元号のつもりですかね?」

突然のトンデモ設定に僕も思わずニヤニヤしてしまう。
堅物のムラさんが語るにしては面白そうな話だ。

ムラさん:「まあ待て、あったあった、これだ。天咲(てんしょう)24年」

ムラさんが手帳を取り出し僕に元号の字を見せてくれた。

ここで突然僕の記憶は霞がかかったように途絶えている。

そして次の記憶は、手帳を見ながらムラさんが色々とその浮浪者(姓名も恐らく聞いたはずだが思い出せない)について語っていた。

ムラさん:「こいつ(浮浪者)のいた時代の首相は、森ナニガシ(名前不肖)という歴代初の女の首相らしい」

僕:「おー、女性首相、遂にきちゃいましたか!」

ムラさん:「こいつは学校には通ってなかったらしい。コンピューターで特別な授業を受けて育ったそうな」

僕:「という事は未来では学校が無いって事スかね?」

ムラさん:「メモには書いてないな。聞いたような、聞かなかったような。俺も冗談半分聞いてたからな」

ムラさんがメモをめくる。

ムラさん:「未来では大きなアーケード状の建物の中に車が走る道路や公園、店や団地が全部あるそうだ」

僕:「屋外って概念が無いって事スか?核戦争で汚染されてるとか」

ムラさん:「いや、これは主に人が多い都心部だけで、地方ではそこまでは整備されてないらしいな」

ムラさんがまたメモをたどる。

ムラさん:「あったこれだ、こいつは15歳のある日、気が付いたらこの時代の代々木の辺りにいたらしい」

僕:「そりゃまた随分と唐突なタイムスリップっスね」

ムラさん:「激しいパニックに陥ったところを警察に見つかり保護されたが、身元も分からない上に話は要領を得ない」

ムラさん:「隙を見て逃走した彼は、途方に暮れたまましばらくの間、隠れるように町の片隅で生活していたが、○○公園(失念)の浮浪者の顔役に声を掛けられて、以来18年ずっとそこで暮らしてきたらしい」

僕:「つー事はそいつは今33歳スか。まだ若いですね」

ムラさん:「戸籍が存在しないから働きようがない、と本人は言ってたが」

僕:「未来人を騙る、働きたくない今時のグータラな若者ってやつですかねー」

こんな感じでムラさんの話は終わった。

この時から5年後、血相を変えたムラさんから、その浮浪者に再び会いに行ったが、なんでも不良による浮浪者狩りにあって亡くなったとの事を聞いた。

今になってそいつに何か用事でもあったのかとムラさんに聞くと、そいつが言っていたとある事が本当に起きたとの事だった。

「大スクープをモノにできるかもしれん」

ムラさんの目は血走っていた。
ムラさんの雰囲気に圧倒されて詳しく聞けなかったのが今でも悔やまれる。


関連記事

スポンサードリンク

タグキーワード
コメント
非公開コメント

トラックバック
Copyright © 超怖い話 実話 All Rights Reserved.
当サイトのテキストや画像等すべての転載転用・商用販売を固く禁じます