【怖い話 洒落怖】その日の夜遅くに伊東から電話が来た。長編 - 超怖い話 実話

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【怖い話 洒落怖】その日の夜遅くに伊東から電話が来た。長編

大学生時代の夏休みに

蕎麦屋の出前のバイトやってたときの話。

郊外の住宅街で、

ちょっと行けば丘陵地帯の雑木林が広がる田舎だった。

IMG_1247.jpg


ある日、カツ丼5人前っていう注文が来た。

道端に原付を止めて、
雑木林の奥へ5分くらい歩いて行った所だった。

工事現場か林業関係の注文だと思ってたんだけど、
到着してみたら10年以上も
誰も足を踏み入れてなさそうなボロボロの廃屋。

明治大正から建ってたんじゃないかってくらい
古い平屋の納屋みたいな建物で、
窓ガラスは全部無くなっていて、
中を覗いてみると家具や電化品や粗大ゴミが
あちこちに散乱していて埃が堆く積っていた。

誰もいないし、何か作業をしていた跡もないし、
場所を間違えたと一瞬思ったんだけど、
地図ではそこ以外にありえないし、家は他に無い。

かろうじて残っている表札の「吉田」も合っていた。

一応、

「○○屋でーす」

と声をかけてみたけど、
当たり前のように返事は無い。

やかましいセミの声しか聞こえない。

家の周りを探したけど、どこにも人はいない。

電話では、誰もいないかも知れないから
家の中に勝手に入って置いていってくれ、
っていう話だったらしい。

テーブルの上に代金が置いてあるから
勝手に持ってってくれと。

で、恐る恐る家の中に入ってみた。

裏口から薄暗い台所に入ってみると、
テーブルの上に封筒があって、
中にきちんと代金が入っていた。

足の踏み場も無いくらい
いろんなものが散乱していて、電気もつかないし、
ハエや変な虫がいっぱい飛んでて、埃で空気も悪い。

食事や休憩に使うには
あまりにも不衛生で環境が悪すぎる。

壁にカレンダーが掛かっていて、
1980年とあった。

20年前のものだった。

ほんとにここで誰かが飯を食うのか?

質の悪い悪戯か?

といぶかったけど、
代金があるんじゃ品物を置いていかないわけにはいかない。

カツ丼を五つテーブルの上に置いて、
俺は逃げるようにその気持ちの悪い廃屋から出て行った。

てんや物に使うにはちょっと良い焼き物だったんで、
放っておくと店長に怒られる(そっちのほうがよっぽど怖い)から、
あんまり行きたくなかったけど、
次の日、その廃屋へお椀の回収に出かけた。

予想通りというか、やはりそこには誰もいなかった。
カレンダーの昨日の日付に赤いペンで○がつけてあって、

「カツ丼5人前。ごちそうさん」

と書かれていた。

昨日の客の誰かが書いたんだろうけど、
20年前のカレンダーなんで、妙に不気味だった。

テーブルの上に食器が置いてあった。

出前の電話はやはり悪戯じゃなかったようで、
カツ丼は完食されていた。

ただ、ひとつ足りなかった。

お椀は四つしかなかった。

そこらへんを見て回ったけど、どこにも無かった。

神経質の店長は怒るかもだけど、仕方が無い。

とにかく一刻も早くそこから離れたかった。

四つだけ回収して帰ったが、やはり怒られた。

次の日俺は休みだったんで、
高校の同級生で一緒にバイトしてる伊東が代わりに
残りの一個を回収に行かされた。

・・・どうやらお椀は見つかったらしい。

奥の居間(らしき部屋)にあったそうだ。

小心者の俺はテーブルの周りをちょっと見回しただけで、
奥の部屋へは行かなかったのだ。

良い笑いものだ。

その日の夜遅くに伊東から電話が来た。

「・・・にしてもさぁ、気が付いた?
台所に20年前のカレンダーが掛かっててさぁ、
12月4日のとこに○印付けられてたの。
お前の誕生日じゃん(禿藁」


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