【超怖い話 実話】消防士として勤めていた時期 短編 - 超怖い話 実話

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【超怖い話 実話】消防士として勤めていた時期 短編

一時期、消防士として

勤めていた時期があった。

もう流石に時効だろうから

ひさしぶりに書いてみようと思う。

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俺が始めて救急車に乗ったのは消防士になって2年目の夏、蒸し暑い夜だった。
救急の人が、たまたま事故にあって補充隊員として新人の部類だった俺が救急車で補助にまわることになった。
救急隊というのは3人1組なんだけど、機関員、っていう運転手とかなりベテランの隊長さん、それに俺、って組み合わせだった。
ある程度の講習はうけてたから、止血や機材の準備とかを手伝った。

夜中の2時を周ったころだった。
仮眠してた俺をベテランの人が起こして外へ連れ出した。
体にまとわりつくような湿気と熱が寝起きの体にはつらかった。
なんで起こしたんだ、というようなことを言おうとすると、その瞬間、頭に響く呼び出し音がなって、救急車に飛び乗った。

現場に行ったとき、俺は胃がしめつけられるようだった。
まだ高校生くらいだと思う女の子が、服もろとも切られて血だらけだった。
通報した人はもういないようで、暗い道に救急車の赤色灯だけが点ってなんだか背筋がぞっとした。
周りには人どころか家も何も無い山道だったから。
ベテランの人が意識とか呼吸とかを見てて、俺が救急車からストレッチャーを出してきたとき、その女の子はいなくなってた。

俺が救急車に乗ってたほんの数秒の間に・・・。

俺は取り乱して思いっきり吐いた。
なんだか、暑さと湿気で気が狂いそうだった。
ベテランの人ははいてる俺を介抱しながらいつもどおり温和な顔で「たまにあることなんだよ、ここではね」と、そういって、消防用ライトで道端にあったそれを指した。

花束だった。

署に帰って、いたずらだったようだ、と報告書書いて、地元の警察に連絡した。
仮眠室へはいる俺に、機関員の人がいった。

「全部、悪い夢だとおもって忘れろ」

俺はその一件で消防士を辞めて家業を継いだ。
今でもあの女の子はたまに夢にでてくるし、あのときのベテランの人の顔が思い出される。
多分、今も蒸し暑い夏の日に、あの場所で彼女は倒れてるんだと思う。
そして、またあのベテランの人は彼女を助けに行くんだと思う。
今でも、真夜中に救急車のサイレン音を聞くと鮮明に思い出す。
蒸し暑い、今日みたいな日の夜のことを。

あれからもう何年か経つけど、どんな怖い話よりもあのときベテランさんがいった言葉が強く強く残ってる。

「たまにあることなんだよ、ここではね」

これが俺の中で死ぬ程洒落にならなかった怖い話です。

後日、そのベテランさんから手紙もきたし、何回かあったけどあの日の出来事だけはもう話してくれないし、あの機関員さんも、同じ。
全部、悪い夢だった、って思いたいです。

救急隊って、人の生死を医者と同じくらい見るところだからこういう話は結構多いと思うよ。
誰も言わないだけでね・・・。


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